欲を捨てる

限界を超えると思考が停止して、

欲がなくなる。

山本健一 トレイルランナー

100マイルレース(160キロ)の山岳レースのお話です。インド洋のレユニオン島で行われる累積標高9917メートル、制限時間65時間という山岳ランニングの大会がある。その大会に出場し、8位入賞となった山本健一の備忘録から作られた『限界突破』の経験を記載したものである。制限時間65時間とはいっても、夜も走り続けるこのレース。休憩場に簡易別途はあるが、ほぼそれを使う時間はどのランナーも短い。走りながら寝て、途中で立ち止まり、横になり163キロ先のゴールを目指すことになる。

レースのスタートは夜の10時なので、どの選手も初日から徹夜を強いられる。                 最初の限界は『睡魔』乗り越える壁との遭遇ともいえる。                          だいたいは登りで眠くなり、下りで目が覚める。最初はその繰り返しだが、時間がたてば、立って寝ることにもなる。そして、頭がクラッとして脳が本当に危険だと判断し横になった。そしてそのまま10分が過ぎた。

そしてある疑問が頭に浮かぶ、そのまま起きなかったら‥という不安があおきないのだろうか?

気持ちがきれていないので、もういいやとはなるけど気持ちはレースとつながっている。山本健一はゴール=人生の通過点と考えている。                              自分が行くべきところというものが頭の中に完全にインプットされている。                  だから寝てしまっても首の皮一枚れー0ストのつながっている。                        実際、顔を打つ雨粒で山本は目を覚まし、その後ゴールまでひたすら走り続けた。結果8位だった。

山本は順位はもとより、自分の走りに釈然としなかった。まだまだ改善の余地がある。そう感じていた。 以後、睡魔というものをコントロールすること。                              ひいてはコントロールすることをこれまで以上に意識して考えるようになっていった。

山本にとっての限界はなんなのか? 一般論でいえば、進めなくなったとき、止まってしまうとき、気持ちが普通じゃなくなったとき。これが一般的には限界なのかな・・・ただ、山本には限界という概念が存在しない。足首をひねるとか骨折などといった。怪我がない限り肉体的な、つらさで止まってしまうということはない。肉体的な苦しさは絶対にクリアできる。膝が痛くても歩いてでも進めば完走はできる。ただ、疲労による睡魔、経験上これが一番きついと山本は話している。

100マイルレースでは100キロ(選手によっては120キロ)を過ぎた地点からが本当の勝負!その先は未知の領域、神のみぞ知る世界。肉体的な限界を超えた後、精神力の世界が待っている。

次はその精神力の世界についてまた記載していきます。 

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